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アニメ,鉄道,アウトドアを中心にesupiが綴る個人ブログ。マイペースにやっております。

未来のコンビニの常識となるか 赤羽駅のAI&無人コンビニに行ってみた

記事ネタストックを消化するまでネタを増やさないと先日宣言したばかりなのに、さっそくネタを増やしてしまったesupiです。

新宿から秋葉原に行く用事があった際に「そういえば、今赤羽駅AI無人コンビニの実証実験やってるな」と思い、今更ながら大回り乗車で寄ってきました! ニュースでこの実験について知ったときから、大学で情報技術と経営関係を学んでいる者としてとても興味深く思ってました。

いったいどんなシステムなのか。利便性はどのくらい向上するのか。実現性はどのくらいあるのか。コンビニ業界の慢性的な人手不足は解消するのか。などなど、実際に利用してみて感じたことを様々な視点から述べていきます。

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当記事サムネイル

実証実験概要

【期間】2018年10月17日から約2ヶ月
【営業時間】平日 10~20時
【場所】JR赤羽駅5,6番線ホーム

関連リンク:JR東日本 ニュースリリース

未来のコンビニはJR赤羽駅に

夕刻赤羽駅にやってきました。駅構内はサラリーマンで賑わってます。今回紹介する「AIを活用した無人決済店舗」(以下AI無人コンビニ)は湘南新宿ラインが走る5,6番線ホーム上にあります。この実証実験は実は2回目で、1回目は昨年11月に大宮駅で開催されてました。

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赤羽駅 5,6番ホーム連絡階段

3,4番線ホームからAI無人コンビニの全体を見るとこんな感じ。左半分は店舗空間で、右半分は商品倉庫といったところでしょうか。普通のホーム上売店の2倍ほどの大きさがあります。JR東日本によると元々ここにはキオスクがあったということです。

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AI無人決済 実証実験特設店舗 (3,4番ホームから撮影)

3,4番線ホームにやってきました。店舗外観はJR東日本カラーとホワイトを使ったデザイン。入口の反対側には「TICKET TO TOMORROW」(明日への切符)と書かれてました。これはJR東日本が最近設定したスローガンです。シンプルで良いと思います。

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大宮側から見た特設店舗

さあいよいよ入店です。店舗付近には係員が3人ほど。入口付近にはガイドポールが設置されてましたが、検証開始から2週間ほど経っていることもあって並んでいる方は誰もいませんでした。

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特設店舗入口 (東京側)

入口ドアの横にはICカードをタッチするところがあります。AI無人コンビニに入店するにあたっては交通系ICカードが必要です。決済にも交通系ICしか使えません。交通系ICであればSuica以外のカードも利用することができます。モバイルSuicaもOKです。

利用しようと店舗へ向かうとこんな留意事項が書かれたカードを渡されます。これを持ったまま入店し、最後店舗を出たときに係員に返却することになります。ICカードのチャージや商品の返品は不可能です。

そして大事なことですが「店内での撮影は禁止」となっています。一方店外から店内の撮影は問題ないということ。つまり店舗滞在時間を短くしたいということでしょう。よって今回ご紹介する店内の写真はすべて店外より撮影しております。

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留意事項カード 表

裏には入店から退店までの流れが書かれています。

つまり、
①交通系ICカードをタッチにして入店
②商品棚から商品を取って出口ゲート
③パネルを確認して決済
④決済後出口ゲートが開いて退店

という流れです。無人であるという点に加えて、商品のバーコードをスキャンする作業もなくなってます。これはセルフレジと比べると画期的なシステムですね。もしパネルに表示された商品が間違っていたら修正できるようになっています。

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留意事項カード 裏

AI無人コンビニにいざ入店

ではいよいよ入店です。店外から撮影した店内の写真と合わせて買い物の流れを紹介していきましょう。画像はクリックすると拡大されますので適宜ご活用ください。

左の棚にはお菓子やパン類。奥の棚には飲み物などが陳列されています。右にあるのが決済を行う出口ゲートです。

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入口から見た店内

販売されている商品は高級スーパーマーケット「紀ノ国屋」の商品で少しお高めです。コンビニの定番であるおにぎりは置かれてませんでした。またお酒やタバコの販売もありませんでした。年齢認証が必要な商品の扱いは無人コンビニではどうなってくるのでしょうか。

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商品棚

なぜ出口に商品を持っていくと認識されるのでしょうか。バーコードのスキャンが不要といいましたが、図書館の自動貸出機のようにRFIDタグを使っているわけではありません。

RFID...電波を用いて近距離無線通信を行って情報をやりとりする技術

この決済システムには近年著しく活用が進んでいるAI(人工知能)が使われています。まず天井に設置されたカメラが客を認識します。そしてその客が商品棚から商品を手に取ると、商品棚に設置されたセンサによって「どの客がどの商品を取ったか」というリンキングを行います。そして出口ゲートへ向かうと、顔認証されてその人が手にとった商品がパネルに表示されるというシステムです。

確かに商品棚には商品ごとにセンサのようなものが取り付けられており、天井を見ると何台ものカメラが設置されてました。このようなシステムの実験のため入店できる人数は3人に限られています。それでも前回の大宮駅での実験では1人しか入れなかったみたいなので、技術の進歩が進んでいることがわかります。

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店舗内天井に設置されたカメラ

商品を取ったところで出口ゲートへ向かいます。ほとんどIC専用自動改札機のような感じですね。赤い枠の中に立つと2秒ほどでパネルに商品が表示されました。予想以上に認識が早くて驚きました。1回取った商品を元の位置に戻したり、奥の方から商品を取ったりといった子供騙しなことをしましたが、AIはそれをしっかりと認識してくれてました。商品に間違いがなかったのでタッチして決済を行います。すると透明のゲートが開き、その先の退店ドアが開きました。

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出口ゲート

退店ドアの先には係員が待機していて、ここカードを返却するとともに、商品に間違いがなかったかという簡単なアンケートが行われました。

一応買った商品を紹介。次の日の朝食用にとオレンジジュースとパンを買いました。紀ノ国屋のパンは美味しい!という噂を聞いていて「ピタチーズ」というパンを買いました。もちっとした食感が良かったです。

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特設店舗で購入した商品とレシート

感想

最初に述べた様々な視点について「いったいどんなシステムなのか。」というのは紹介してきました。他の視点から感想を述べていきます。こういった分野を勉強中の学生として偉そうに言える立場ではないですが、こうしたほうがいいのではないかというアイデアも可能な限り挙げていこうと思います。

あとになって同様にAI無人コンビニを紹介しているサイトを覗いてみると、似たようなことが書かれていたので、考えるとことは皆同じなんだと思います。長くなりますが、部分的にでも是非読んでみてください。

【利便性】買い物のスムーズさは今の売店とさほど変わりない!?

RFIDを使わずにセンサとカメラで商品を識別するというのは、セルフレジのような自主申告的なものではないので、万引き防止には繋がると思います。しかし出口ゲートに行ってIC決済するという一連の流れはあまりスムーズとはいえません。

AI技術がさらに進化して店内により多くの人を入れれたとしても、複数人が連続して出口ゲートへ向かってしまうとすると、ここで待ち時間が発生してしまいます。これでは普通のPOSレジシステムと比較して、スムーズさという点ではあまり変わりません。ゲートの数を増やすといったハードな対応では限界があります。

今年1月にシアトルにオープンした「Amazon GO」という無人スーパーについて紹介しましょう。まず店舗を利用する場合、専用のアプリをスマートフォンにインストールする必要があります。このアプリを使って表示されたQRコードを入口ゲートにスキャンして入店します。店に入ったら商品を買い物袋などに入れていきます。そしてそのまま店を出るだけ。つまり退店時に待ち時間が発生しないのです。ジャストウォークアウトと呼ばれるこのシステムは非常に画期的なものですね。

www.amazon.com

またローソンがシーテックで実証実験を行ったものは、QRコードで商品を読み込み、あとはゲートを通るだけで自動的に決済が完了するシステムでした。これはウォークスルー決済と呼ばれています。こちらも退店が非常にスムーズです。

www.lawson.co.jp

今回のAI無人コンビニの場合、退店の流れに欠点があるかと思います。そのままゲートを通り抜けるだけなのと、そこで決済のための行動(内容を確認してタッチする)をしないといけないというのでは、1人だけの利用だと気にするほどでもないですが、人数が増えてくると退店ゲートが次第に滞ってくると思います。

駅のコンビニでは電車の時間が迫っていたりと時間にデリケートな利用客が多いですから、入店から退店までの一連の流れはよりスムーズな方が良いと思います。歩きながら商品棚に近づいてパッと商品を取り、そのまま店を出ていくというスタイルは駅コンビニの利用客が求めている理想ではないでしょうか。

よってJR東日本もスマートフォンのみで完結するような決済方法をこのコンビニに取り入れたら良いのではないかと考えます。Amazon GOの場合、後になって内容が間違っていたらスマートフォン上で修正することが可能になっています。

【実現性】センサとカメラを大量に設置するのは非現実的か

当記事に載せた写真を見ていただければわかると思いますが、店内には非常に多くのカメラセンサが設置されています。商品の種類増加や店舗の大型化によってこの数はもっと増えてくるでしょう。センサやカメラにどのくらいのコストがかかっているかはわかりませんが、これで人件費が削減したとしても採算は取れるのでしょうか。

という話をすると、またAmazon GOの話になるのですが、シアトルにオープンしているお店は今回のAI無人コンビニより大型です。Amazon GOも同じく店内に大量のセンサやカメラを設置しています。センサと言っても赤外線だけでなく重量や圧力センサもつけられており、さらにマイクまで店内のありとあらゆるところに設置されています。果たしてここまでして採算取れるのかは、Amazonからの報告を待つしかありません。

仮に採算が取れたとしても、センサやカメラによって商品を認識するシステムの場合、商品の追加や陳列レイアウト変更などの柔軟性に欠けてしまい、どうしても制約と戦っていかなければなりません。この点で実現できる店舗スタイルの範囲が狭くなってしまいます。

実現性で考えると、すでにユニクロなどで実際に使われているRFIDタグに軍配が上がりますね。

【問題解決】AI無人コンビニは人手不足解消のカギに?

このシステムによってレジ業務に人が不要になるので、そこに人を割く必要がなくなります。しかしコンビニ店員はレジ業務だけをしているわけではありません。商品の補充や棚卸し、各種支払いサービスの受付やフライヤー商品の準備に、清掃。他にもたくさんやることがあります(コンビニ店員経験があるわけではないので間違ってるかもしれませんが...)。今回のように置いている商品を売るだけの駅ホームの売店でさえも、商品の補充まではAIはやってくれないので、人間の手が必要になってきます。

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一般的なホーム上売店(キオスク) (赤羽駅1,2番線ホームにて)

このように店員の負担はある程度軽減されますが、コンビニの業務全般がAIに取って代わられるわけではないので、店員の負担軽減には繋がっても、慢性的な人手不足解消まではなかなか繋がりにくいと思いました。

ちょっと脱線しますが、コンビニの人手不足解消のためにはこういった新技術の導入じゃなくて、まず営業時間の短縮や店舗数削減といった基本的なところだと思うんですよね。JR東日本が人手不足解消も考えてこの技術の導入を進めようとしているのかはわかりませんが、AI無人コンビニが人手不足解消のカギになるかと言われたら、「う~ん...」という感じです。

【課題】お酒やタバコの販売は??

AI無人コンビニには今回お酒やタバコは販売されてませんでした。年齢認証は無人コンビニの課題であると思います。普通のコンビニだって画面に表示されたボタンを押すだけだから、AI無人コンビニも出口ゲートのパネルに表示させればいい、という話になりそうですが、なんせ人がいないので未成年でも抵抗なく簡単に買えてしまうのが問題です。同じ内容のボタンでも、そのボタンを押す時に人間による確認があるかないかでは全然違うでしょう。

これを解決するには利用するICカードにきちんと証明された年齢情報を入れたら良いと思います。身分証によって確認された生年月日の情報を入れたICカードじゃないと店舗を利用できないとか...。となると記名式Suicaが使えそうですが、定期券とかじゃない限り発行時にいくらでも嘘をつけるので、「証明された」情報をICカードに組み込めるというシステムにしていかなければなりません。

まあここまでやっても、taspoのように貸し借りされたら全く意味なさないんですけどね。やはり最終的には人の目によって確認するしかないのでしょうか。

【前提条件として】日本人になかなか馴染まないキャッシュレス決済

そもそもの話ですが、日本にはキャッシュレス決済がなかなか浸透しません。なぜ浸透しないのかという話は長くなるので省略しますが、キャッシュレス決済が馴染み深いものにならない限り、AI無人コンビニが未来のコンビニの常識となることはないでしょう。ちなみに僕はキャッシュレス決済ができる某飲食店でアルバイトをしてるのですが、8割以上は現金支払いの方です。これが日本の現状です。

一方でお隣中国では「ビンゴボックス」という無人コンビニが急速に拡大しています。これには中国国内でのスマホ決済率の高さが背景にあるかと思います。

日本国内でのキャッシュレス化は、政府が来年度の消費税増税に合わせてキャッシュレス化を促進するための様々な還元策を検討しているので、もしかしたら今後急速にキャッシュレス化が進む可能性はあるでしょう。しかし現状としてこのような現金支払いができない店舗は日本ではなかなか厳しいです。

 


このように様々な課題を抱えているAI無人コンビニですが、積極的に最新技術を取り入れようとするJR東日本をこれからも応援していきたいです。色んな問題点がありますが、今回の実証実験をもとに勿論改善を進めていくでしょう。

今回実証実験店舗を利用してみて、未来のコンビニのあり方について考える良い機会になりました。もしかしたら大学卒業後、当事者となって未来のコンビニを考える立場になっているかもしれませんが、未来のコンビニがいったいどうなるのかとても楽しみです。

実証実験は誰でも利用できますので、興味あれば是非利用してみて、未来のコンビニについて考えてみてください!